探偵業界の概要
興信所・探偵社は普段は目にしないものなので、そんなにたくさんはないだろうと思いがちです。
しかし、公安委員会への届出は5,670社にも上っています。(平成25年度警察庁資料より)
ここには届出だけして営業していないペーパーカンパニーや、副業で時々やるような探偵も含まれています。
個人業者が大半を占め、法人(株式会社等)は1/3以下です。
装備が貧弱で、スキル・経験も低い業者がたくさんいるので注意してください。
車が1~2台しかなく、業務無線もなくてスマホを使っているような興信所に車両尾行の浮気調査を任せるのは危険です。
もちろん小さい探偵社にもしっかりした会社で修業した上で独立し、ネットワークも豊富に持っているところはあります。
ただ、それを業界に人脈もない素人が見分けるのは困難です。
全国に自社の拠点を展開している大手はわずか数社。
「全国100拠点以上」と謳っているところもありますが、それはフランチャイズであって、ここでいう大手とは意味が違います。
ネット上だけの探偵社
最近は、自社オフィスすら持っておらず、ネットで集客だけする興信所もあるので注意してください。
大手や地元の興信所に見せかけたホームページで集客し、喫茶店・ファミレスで打ち合わせて受注します。
実務は外注に丸投げし、トラブルが発生すると連絡が取れなくなることもあります。
住所もわからない相手に重大な秘密情報を渡すのはとても危険なことでもあります。
興信所は、最低でもオフィスが実在する会社を選ぶべきです。
探偵業の資格・免許
探偵業に資格や免許はありません。
例えば司法書士は国家資格が必要ですし、不動産業を営むには宅建資格者を置く必要があります。
しかし、探偵業にはそういうものはないのです。
探偵業法が公安委員会への届出を義務付けていますが、書類提出であって技能や装備力を証明する必要はありません。
だからと言って、探偵業が誰でも開業できるような仕事でないのは明白です。
技量には天と地ほどの開きがあるが、それを認証する客観的なシステムがないということなのです。
建築士のように1級、2級とかあればわかりやすいのですが・・・
興信所への依頼内容は人に知られたくないことがほとんどなので、本物の口コミは存在しません。
そのため、口コミ比較サイトもなく、興信所選びはユーザーの悩みの種になっています。
業界団体
警察庁が監督官庁である内閣府認可法人「全国調査業協同組合」が代表的です。
ほかにも比較的有名な団体がいくつかあり、小さいものを含めれば何十もあります。
仲間の数社で作って、大きく権威ある団体に見せているところもあるので注意しましょう。
有名な団体に所属していることが興信所選びの目安と書いているサイトもありますが、団体がレベル認証・技能指導などをしているわけでもないので、せいぜい参考程度かと思います。
探偵業法
探偵に関する法律はいわゆる「探偵業法」ですが、警察官のような捜査権・逮捕権などを付与する内容ではありません。
正式には「探偵業の業務の適正化に関する法律」といい、トラブルの多い業界を改善するために作られました。
成立は2006年、施行は2007年からです。
内容はおおむね下記のようなことです。
- 探偵業を営む者は公安委員会への届出を義務化
- 仕事で知り得た秘密を漏らしたり、悪用してはならない
- 違法な目的の調査を行ってはならない
- 反社会団体は探偵業を営むことはできない