行き先として多いのは、池袋・新宿・上野・秋葉原の4カ所という話でした。この点に関して2018年9月の取材時にもう一度確認したところ、この中でも池袋が特に重要とのことでした。
埼玉県人にとって、東京で一番なじみがあるのはやはり東京方面行の電車の終点である池袋なのです。最近、地方各地にシェアハウスなどの安い滞在場所ができて、首都圏の家出人が地方で発見される例も出てきたと、原一の調査部特捜課(人探し専門部隊)から聞きました。
これについても確認したところ、そういう新しい傾向はまだ少数であって、依然大半は東京の漫画喫茶・ネットカフェに向かうとのことでした。
池袋は最重要候補
池袋のネットカフェ・漫画喫茶―家出人が埼玉県人ならこれが第一優先順位の捜索先です。
【池袋のネットカフェ】
池袋には「乙女ロード」というオタク女子向けの場所もあります。(アニメイトのそば)
ここには、執事カフェやBL関連グッズの店がたくさんあります。
執事カフェというのは、オタク男性が好むメイドカフェの女性版で、入店すると執事(召使)が「帰りなさい。お嬢様。」と迎えてくれます。
BLとは、ボーイズラブの略で、美形の男子の同性愛のことです。それをテーマにした漫画、小説、映画などを好むオタク女子を「腐女子」といいます。
乙女ロードには女性専用の漫画喫茶・ネットカフェもあり、家出人がアニメ好きの女子ならここに滞在している可能性も大です。
【乙女ロードの様子】
ただ、池袋だけでも漫画喫茶・喫茶店はかなりの数がありますし、素人が聞き込みに行っても客のことは教えてくれません。
家族が街をうろうろしていると家出人の方が先に発見して、別の街に逃げられる危険も大きいです。
また、池袋の可能性が大きいとは言っても、男子なら秋葉原の可能性もありますし、成人なら安いカプセルホテルの多い上野に行っているかもしれません。
自殺や失踪目的の家出人は別
さて、上記の話は一時的に家出をしている人の場合です。
自殺を目的としている場合や家族と縁を切って別な場所で別な人生を生きようとしている場合には当てはまりません。
自殺志願の場合、多くは男性(特に30代と50代)で、思い出の場所を旅行した後に決行する傾向があります。
いわゆる「自殺の名所」を決行場所に選ぶこともあり、埼玉県では秩父がそれにあたります。
【秩父での捜索風景(原一探偵事務所)】
原一探偵事務所では調査部特捜課という人探し専門部隊がありますが、それは都市のネットカフェなどを捜索する「ローラー捜査班」と、自殺の危険のある家出人を探す「特異捜査班」に分かれています。
特異捜査班は秩父や青木ヶ原樹海にしょっちゅう捜索に出かけています。
【樹海セット】
特異捜査班の探偵は、社内で「樹海セット」と呼ばれる装備を携えて道のない森の奥まで捜索にでかけ、1日に30キロ以上も歩くそうです。
家族と縁を切って別な場所で別な人生を生きようとしている人は、家出人ではなく、失踪者と呼ばれます。
家出人の多くが心のどこかで家族が発見してくれるのを期待しているのとは逆に、失踪者は家族から隠れようとし、自分の痕跡をことごとく消そうとします。
だから普通の家出人より探すのははるかに難しく、捜索方法も糸口をつかむまでは聞き込みがメインになります。
原一さんには失踪者捜索を担う「特殊調査部」という部門があり、一度取材したことがあります。
その内容は別なサイトにまとめているので割愛しますが、失踪者を探せる探偵社は少ないと思います。
なお、「特捜」とか「特異」とか「特殊」とか部署のネーミングがややこしいですが、社外の人が聞いた時に何をしている部門かわかりにくいようにしているみたいです。
【特殊調査部の探偵(2018年2月取材)】
子供を連れて失踪した妻が、実は別の男と家族のように暮らしていた。しかも、相手の男とはネットゲームで知り合い、相手のリアルな情報はほとんど何も知らないまま、そんな行動に出ていた、というような例がちらほらあるそうです。
心当たりがあるなら、原一さんに相談してみてはどうでしょうか。